応天の門(宝塚)の感想とネタバレあらすじ

先月、千秋楽間近の応天の門を東京宝塚劇場で観劇しました。

3月の宝塚大劇場以来、約50日ぶりの観劇でした。

その感想やネタバレ、あらすじを紹介します。

応天の門(宝塚)について

「応天の門」は若き日の菅原道真と在原業平がタッグを組んで

難問を解決するという、人気漫画が原作のお話です。

漫画の原作者である灰原薬(はいばら やく)氏が、上演が決定以来、好意的な発言をし、かつ他組の宝塚の舞台に足を運んで宝塚歌劇の空気を感じてくださり、「応天の門」のパンフレットにもカラーイラストとともに、宝塚版の台本を読んだ段階で満足し、「今はただ原作者としてよりも一観客として、幕が上がるのを胸高鳴らせて待っております。皆様もそうでありますように」という、感動的なお言葉をくださっていて、温かい気持ちでワクワクしながら観劇しました。

応天の門(宝塚)のネタバレあらすじ

応天の門のあらすじを超簡単に説明します。

平安時代の初め、藤原氏が絶対的な権力をつかむために水面化での陰謀が繰り広げられていた頃、若き日の菅原道真が、当時今日の治安を守る検非違使の長であった在原業平に見込まれて、京の都を恐怖に陥れていた「百鬼夜行」の謎を明かしていくーという物語です。

麗しい美貌が魅力のトップスター月城かなとさんは菅原道真役、トップ娘役、海乃美月さんは、主人公の道真を一回り大きな人間に導いていく姉御肌で、元は唐の後宮の女官である昭姫(しょうき)役で、ラブラブ感はあまりないのですが、皆で力を合わせて謎を解いていくという過程が楽しめます。日本人好みの勧善懲悪までは至りきらないところも、今回は時代背景などを思うと納得がいきます。

その代わりに、二番手の鳳月杏さん演じる在原業平と藤原高子の、昔愛し合った二人の想いが、舞台上は距離がありながらも、その表情や『伊勢物語』に出てくる和歌に込められていて、ジーンと切なくなりました。

三番手の風間柚乃さん演じる藤原基経は悪役ではあるものの、藤原家の絶対的な体制が確立する途中の有能だからこその葛藤や、幼くして亡くなった道真の兄との交流に人間味が溢れていて、楽しめました。

感想ー在原業平が素敵すぎる

タカラジェンヌの中でも屈指の美貌を誇る、月組トップスター月城かなとさん演じる菅原道真は若さが目立つ役作りで、私的にはあまりときめかなかったのですが、『源氏物語』の光源氏のモデルにもなったとも言われる平安貴族の色男、在原業平役の二番手鳳月杏さんの狩衣姿が色っぽくてとにかく素敵すぎました。

お芝居の中でも、鳳月さんの業平は、道真にいつもくっついている女の子、彩みちるさん演じる白梅を一瞬でメロメロにするのですが、魅力的すぎて、目が離せません。

かつて命懸けで愛した藤原高子を偶然見つけた時の、懐かしさや切なさが表情から溢れて、見ているこちらの胸までキューンと締め付けられドキドキします。距離はあるのに、溢れる気持ちを表情で表す鳳月杏さんの業平を見るだけで、チケット代金を回収できた気分になりました。

鳳月杏さんの狩衣姿は、時代は今回よりも前ですが、以前に博多座で上演された「あかねさす紫の花」の中大兄皇子役でも拝見しましたが、数年の時を経て、色香に深みが出て、輝いていました。

その他にも音楽学校に入学時は、故夏目雅子さんの姪として注目されたものの、いぶし銀とも形容される熟練の演技力で新人公演の主役や本公演の重要な役を重ねてきた三番手風間柚乃さんの藤原基経は、ゾッとするくらいの凄みとクールさが際立っていて目を引きました。正直、演技は上手いけれど、華やかさがもうひとつという声もあり、私もちょっと感じていたのですが、黒を基調の地味な衣装でも切長の目と佇まいで静かに発光していました。

雪組時代はキャンキャンしていたイメージの彩みちるさん演じる白梅は、役柄がキャンキャンしているのに、可愛らしくて出ているだけで場が明るく、ほっこりします。付き纏われる道真役の月城かなとさんが、「(もう一人子分みたいにいつもいる紀長谷雄役の彩海せらさんと)三人でわちゃわちゃしている場面は、雪組時代から仲が良く気心が知れているから、自然で楽しい」みたいなニュアンスで語っていたように、もう芝居を超えた温かな関係性が感じられて、ハッピーな気持ちになりました。

かっこよさで群を抜いてきた、帝の妻になる藤原多美子の兄、藤原常行役の礼華はるくん。次のバウホール主演が決まった自信もあってか、芝居もショーも目立って素敵でした。

その他、千秋楽の挨拶で「研18にして13歳の清和帝を演じました」と会場の笑いを誘った千海華蘭さんや得意のダンスで場を一人で持たせた踊りの名人役の結愛かれんさん、初めの本読みで「耳目」を「みみめ」と読んだとバラされても平然と物語中で一番の大物、藤原良房役の光月るう組長などの退団者の方々もそれぞれに適役で、観劇後の余韻も爽やかな作品でした。

公演は無事に大劇場から東京公演まで、休演もなく駆け抜けましたが、まだまだ余韻に浸っていたい気分です。とりあえず、灰原薬さんの漫画を読んでいろいろ思い出しながら、瞑想したいと思っています。

 

 

 

 

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